倉敷南同窓会

同窓会_東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻建築構造 教授 野口 貴文(4期生)さんより寄稿

投稿日:2026年9月28日(月曜日)

東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻建築構造 教授 野口 貴文(4期生)さん 

当時、1980年卒業の4期生でしたが、入学時には玉島からの5%枠であったため非常に不安でしたが、良き友達(悪友)にも恵まれ、充実した3年間を過ごさせていただきました。高校生活3年間で思い出すことと言えば、学校帰りのインベーダーゲーム、放課後のスリッパ卓球、3校戦(今は4校戦)前のソフトボール練習など、勉強でお世話になった先生には申し訳ないことばかりです。さて、高校卒業後、建築家を目指して東京大学に入学し建築学科にも進学しましたが、小児期の情操教育が足りなかったため、デザイン能力・芸術性の欠如に気付かされ、現在の道(コンクリート研究者)に進むことにしました。

さて、コンクリートって、世の中で水に次いで使用量の多い物質であるってことを皆様はご存じでしょうか?学校(南校も)、博物館・美術館、橋、道路、ダム、堤防など、身の回りにはどこでもコンクリートがあります。そして、コンクリートは、紀元前7,000年の頃から使用されている古い建設材料です。特に、古代ローマ帝国時代には、多くの建造物がコンクリートで造られました。パンテオン、コロッセオ、カラカラ浴場など、今も雄大な建造物として残存しています。しかし、現在のコンクリートは、多くの問題を抱えているのが実情です。その最たるものが、コンクリートを製造するまでの間に世界全体の総排出量の8%を占めるCO2が排出されているということで、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、私はカーボンニュートラル(研究としてはカーボンネガティブ)なコンクリートの開発に取り組んでいます。建物や橋などが寿命を迎えて壊された後に発生するコンクリート廃材と大気中のCO2だけを利用して新たなコンクリート(炭酸カルシウムコンクリート)を製造する研究に取り組んでいます(https://moonshot-c4s.jp/)。もう一つの問題は、限られた天然資源を利用して製造されるコンクリートは、将来(100年後くらいに)、資源枯渇に直面してしまい、これ以上コンクリートを製造できなくなってしまうという心配です。炭酸カルシウムコンクリートは、この問題も解決してくれるものと信じています。今後、サーキュラーエコノミーの構築が必須になってきますが、コンクリートで造られた建物や橋は、CO2の排出削減、資源の有効利用の観点からも長く使い続けたいものですね。でも、人工物は、地球の自然環境で最も安定な状態に移行・変化していくのが理(ことわり)です。コンクリートも劣化という形で変化していきます。定期的なメンテナンスを怠ると、長崎市の軍艦島に残存する建造物のようになってしまいます。史跡に登録され、世界遺産にも登録された軍艦島に佇む建造物の保存・再生に向けて、調査・実験も行っています(YouTubeを流しているので、興味があったら覗いてみてください)。全ては、地球という惑星における自然な循環形態の中で、地球に負荷をかけずにいかに建造物を造り維持していくかがポイントであると思っています。

野口貴文

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Takafumi NOGUCHI

Professor, Dr. Engineering

Department of Architecture, The University of Tokyo

7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8656, Japan

Tel: +81-3-5841-6198, Fax: +81-3-5841-6195

Email: noguchi@bme.arch.t.u-tokyo.ac.jp

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画像1:顔写真

画像2:「C4SプロジェクトMovie」(https://moonshot-c4s.jp/movies.html)の分析風景(コロナの時)

画像3:20年前のテレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」の撮影時の写真(菊川怜は研究室のOGです)